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人材サービスのノウハウで、UIJターン・就農を支援する

小林幸嗣氏

東京都千代田区
株式会社インテリジェンス
キャリアディビジョン採用企画事業部 サービスプロデュース統括部 ゼネラルマネジャー 小林 幸嗣 氏
NEDディビジョン公共事業部 地方創生推進部 ゼネラルマネジャー 柳沢 恵美子 氏

求人情報誌の発行からスタートし、現在では転職サイトの運営など総合人材サービスを提供している株式会社インテリジェンス。これまでに培った人材マッチングのノウハウを生かし、地方への就職・転職――UIJターンの支援も実施し、その実績が買われて、単独で特定県からの依頼に応えるというプロジェクトも推進している。さらには、日本最大級の第1次産業就業支援サイトと提携し、農業+人材を融合させたagriju(アグリージュ)というサイトを立ち上げ、就農・移住支援情報を配信するとともに地方求人のスキルアップを目指している。

主な取り組み

◎大都市圏在住者向けのUIJターン転職支援
◎転職フェアなどのイベントを都市部で年10回ほど開催
◎各地方・地域の雇用、求人とのマッチングを推進(地域人材還流促進事業)
◎DODAの転職サイト内にUIJターン専用の特設ページを開設
◎就農・移住支援情報サイトagrijuの立ち上げ・運営
◎グリーンツーリズムなどの地方で行うイベント情報の配信
 など

地域とともにどうしたらUIJターンが増えるのかを考える

4つのサービス DODAが提供する4つの転職支援サービス。地方創生については、人材紹介と求人広告、イベントが大きく関わってくる。転職フェア DODAでは、東京、大阪、名古屋、福岡で転職者を支援するイベントを開催している。日本最大級の転職フェアで2016年7月実績では337社の企業出展、1万4533名の転職希望者を動員。

――DODAの業務内容と、地方創生との関わりについて、教えていただけますか。


小林:業務については、当社は「DODA」ブランドを前面に立てた求人メディア、人材紹介のほかに、転職フェア、エグゼクティブサーチなどの転職支援領域で幅広くサービスを展開しています。なかでもDODA転職フェアは3日間の開催で1万4533名(2016年7月実績)の転職希望者を動員する業界最大の転職イベントです。

 地方創生に関連した部分で言うと、都市部在住の転職希望者が地方に移住する動きであるUIJ ターンをどう推進していくのかというプロジェクトに、地方とともに取り組んでいます。自治体に転職フェアに参加してもらったり、求人メディアで求人を募ったりという形で地方と足並みを揃え、大都市圏から地方への人材の流れをつくっています。


――地方との関係は、具体的にはどのような形で築かれますか。


小林:地方との関わり方は主に2パターンです。1つは自治体とともに地方企業の求人情報を開拓し募集をするパターン、もう1つは、自治体の雇用労政窓口の担当者をはじめとした自治体とともにUIJ ターンを推し進めていくパターンです。2016年10 月末までの実績は、イベント出展に35 自治体、求人メディア掲載が36 自治体となっています。今後、さらに密な関わり方を増やしていければと思っています。

Webを活用して農業と地方の魅力を発信

アグリージュ_サイトイメージ 日本最大級の第1次産業専門求人サイトである「第一次産業ネット」と提携し、地方情報を掲載しているagriju。閲覧者が興味を持った地域の情報にすぐにアクセスできるように、各地域の特徴や魅力を、テーマ、キーワードごとに表示している。

――agrijuというサイトはどのような意図で立ち上げられたのですか。


柳沢:地域の魅力や就農情報を届ける目的で立ち上げました。このagrijuという言葉は、農業を意味するagricultureと、地域での暮らしや移住(iju)を合わせた造語です。サービスとしては、2015年に立ち上がっていたのですが、2016年9月に大幅なリニューアルを行い、お話ししたような内容のサイトに生まれ変わりました。そういった意味では、スタートしたばかりで、まだ成果などをお伝えできる段階にありません。ただし、今後の成長が期待できる分野であるということだけは言えます。

 このサイトは、農業に就くために地方へ移住しようと考えている人がメインターゲットです。しかし、それだけでなく、農業のある生活や地方での暮らしに憧れている段階の人や、農業以外の第1次産業に就きたいと漠然と考えている人も対象に含んでいます。このようにかなり間口を広げて、幅広い層を対象者として考えています。


――今後の広がりが期待できますね。


柳沢:agrijuは「第一次産業ネット」という、国内最大級の第1次産業求人サイトを運営するLife Labと共同で運営していて、地方自治体のポータルページという形でサービスを提供しています。反応は上々で、リリース後、約1カ月で38の自治体の情報を掲載しました。このように、agrijuのサイトから地方自治体のページに飛んで就農希望者が情報を簡単に得られるようにしています。また、一般の求職者のなかで地方の暮らしに興味がある人をagrijuに誘導するために、当社のDODAからもリンクを張っています。就農希望者にとってはどんな農業ができるか、どんな支援制度があるか、どういう育成制度があるかなどの情報が重要で、それらが自分の希望とマッチしていれば移住につながりやすいというデータがありますので、そういった情報をまとめる仕組みも作成しました。


曖昧な求人像では、人材が集まらない

――地方が求める人物像が曖昧になりがちだそうですが、そんな時、専門家としてはどのようなアドバイスをされるのでしょうか。


小林:地方の企業ですと、“やる気がある人”“リスクをとれる人”など、曖昧な言葉を求人条件に出すことが多く、それが問題となっています。求人側が曖昧な条件を提示すると、求職者側も「どんな人が必要なの?」と思ってしまい、逆に応募へのハードルが高くなります。そうした求人をしている企業には「募集対象の条件はしっかり設定しましょう」とアドバイスして、求める人材像を顕在化させるように努力しています。


アグリージュイベント1 アグリージュイベント2 DODAと同様に、agrijuでも移住・就農希望者を集めてイベントを行うこともある。

――就農に関してはいかがですか。


柳沢:個人経営に近い農業者には農繁期の人手以外に人材需要はありません。ニーズがあるのは、新規参入や既存の農業法人です。

 いわゆる農従事者といっても、実際に現場で働く人と農業経営を行うマネジメント層という2つのニーズがあります。その両者とも必ずしも農業経験者である必要はありません。特に、マネジメント層に求められるのは、農業現場の実務ではなくマネジメントのノウハウですから、販路開拓やマーケティングや財務系の経歴を持った人が就職されるというケースもあります。ただし、それでもやはり事業として農業をやりたいという強い気持ちがないと、なかなか新たな職業として農業の領域には踏み出せない傾向にあります。日本の農業を強くしていくためには、若い労働力や、異業職種からの参加をさらに促していく必要があると思います。


――就農については自治体の姿勢も問われますね。


柳沢:自治体もそのような状況はわかっていますから、就農を目指す企業や人を支援していこうという動きは強化されていますが、PRの知識や経験が不足しています。例えば、Webサイトをつくっただけで充分なPRをしていなかったり、個々の事業でWebサイトをつくり連携させていたなかったり、効果測定をしていないなど、まだまだ我々のような会社がご支援できることはたくさんあると感じています。



■ ■ ■


プロフィール

小林幸嗣氏 

小林 幸嗣(こばやし・こうじ)


2006年インテリジェンスに入社。DODA求人情報サービスの立ち上げ期の営業を経験したあと、営業マネジャー、商品企画マネジャーを担当。2013年1月より大都市圏のビジネスパーソンの地方への人材還流をテーマに地方創生・UIJターン転職支援を担当し、現在はDODA求人情報サービス、DODA転職フェア、DODA Recruitersといった各種サービスの企画部門責任者を務める。

柳沢恵美子氏 

柳沢 恵美子(やなぎさわ・えみこ)


1988年株式会社学生援護会入社。anの営業企画部門を担当後、1993年より学生の就職支援サービスの立ち上げ、国、自治体等官公庁の就労支援事業の提案、運営に携わる。2006年インテリジェンスとの経営統合に伴い現職。若年者就業支援、就農支援、移住関連領域を専門とし、多くの官公庁受託事業の提案、運営責任者を経験。米国CCE, Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。

DATA

組織・団体名  株式会社インテリジェンス

住所      〒100-6328 東京都千代田区丸の内2丁目4-1 丸の内ビルディング27F・28F

設立      1989年6月

Webサイト   http://www.inte.co.jp/

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