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住民組織の強化から始まる歴史的まちづくり

住民組織の強化から始まる歴史的まちづくり

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氏名

岩田 智さん(いわた・さとし)
所属・肩書 岩手県立大学宮古短期大学部経営情報学科 教授
プロフィール 1959年生まれ。
1982年、日本大学商学部を卒業し、同年、総合能力開発事業団に研究員として入団。その後、高山短期大学商経学科助手・講師などを経て、1994年、岩手県立大学宮古短期大学部助教授に就任。2007年に准教授となり、2014年より現職。2002年には、岩手大学 連合農学研究科で博士(農学)を取得した。地域経営、少子化問題、産業観光、PFI/PPPが主な研究テーマ。日本商工会議所簿記検定1級、税理士、宅地建物取引士試験に合格している。

地方創生カレッジで学んだことを学生にも伝授

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岩田さんは現在も三陸鉄道沿線の復興に熱心に取り組んでいる

 

地域の課題と向き合い、様々な地域振興事業に参画

──2011年の東日本大震災から9年になりますが、岩手県宮古市の現在の課題とは何でしょうか?

岩田:宮古市は震災前からコネクター関係の企業を誘致していたこともあり、「コネクターのまち・宮古市」とも呼ばれています。コネクター関係は震災でもほとんど影響を受けなかったので、現在も続いています。しかし、市全体を見ると、復興作業が終わりに近づくのに伴い、経済が冷えてきたというのが実情です。震災された方々と復興作業に携わる方々の住まいが不足し復興作業を進めるに際して、ある時期、新たなアパートが多く建設されました。その時期、建築・土木分野はまさに仕事を選べる状況でした。しかし、復興作業も終わりに向かう現在ではアパートの空き家も目立つようになり、建設・土木の仕事量も復興作業前の状態に戻りつつあります。


──現状を打開するために、官庁と一緒になって活動されていることはありますか?

岩田:いろいろありますが、現在、直接関わっているのは宮古市の観光の振興です。以前は宮古市で婚活パーティーなどを主催し、少子高齢化対策のボランティアなどもやっていました。PFIがらみでは、盛岡市の給食センターの整備運営事業、紫波町の町役場の建設事業の委員として、アドバイザーまたはオブザーバー的な立場で参加していました。

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    岩田さんは観光の振興にも熱心に取り組んでいる。写真は東日本大震災の震災遺構として整備された「たろう観光ホテル」
    ©Kanade miko(CC BY-SA 4.0
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    紫波町庁舎の建設事業には、岩田さんが委員の一人として参画した
    写真提供:岩手県紫波町

──様々な活動のなかでの成功事例についてお聞かせください。

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紫波町で導入が進む浄化槽。岩田さんは、これの整備事業にもアドバイザーとして参画している
写真提供:岩手県紫波町

岩田:PFIがらみでいうと、宮古市と紫波町の浄化槽整備事業はうまくいったと思います。農山村は下水を整備するよりも浄化槽を整備したほうが、コストパフォーマンスが高い。特に宮古市は国立公園があるので、高度処理方式という性能のいい浄化槽の整備を推進できました。

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紫波町で導入が進む浄化槽。岩田さんは、これの整備事業にもアドバイザーとして参画している
写真提供:岩手県紫波町

 

地方創生カレッジで学んだことを大学の授業にも活用

──地方創生カレッジを受講しようと思ったきっかけは?

岩田:何かの記事かメールでその存在を知り、インターネットで検索したのが最初です。教員としての専門分野以外の知識量を増やしたかったですし、「どこで、どんなことをやっているのか」といった具体的な事例を、多彩な講師の方々が話してくださる点にも興味を持ちました。


──講座はどのような形で視聴されましたか?

岩田:自宅でも勤務先でも動画を見ることは可能ですから、特に時間を決めずに、空き時間に受講したという感じです。オンデマンドで動画が配信されるので、少し休んでから視聴を再開することはできますが、気持ち的にはやはり、視聴し始めたら最後まで見たいというところがあります。ですから、1回の授業時間は、10分〜15分刻みのほうが、集中力を持続できると思います。映画を見るわけではないので、モチベーションがかなり高くないと集中力が持たない。また、私の希望ですが、小テストなどを授業のあとに入れていく形だと、さらに持続性が高まると思います。


──たくさんの講座を受講されていますが、特に印象深かった講座は?

DSC_0028.JPG学生たちに講義する岩田さん

岩田:明治大学の小田切徳美先生の「農山村の地域づくり」という講座は、大変気に入っています。この講座では、「過疎」という言葉がどのように生まれたのかというところから始まり、地域の将来の展望までの流れを非常にわかりやすく学べました。具体的には、地域開発の原点や歴史に始まり、農村づくりがどのように行われてきたかの流れを学習しつつ、地域を活性化させるために必要なものとは何かを考え、そして将来の展望まで、体系的に学ぶことができるので、最初に受講する講座としてはピッタリだと思います。この講座で学んだことは、大学の自分の授業にも取り入れ、学生に伝えています。また、様々な活動のなかで、他のメンバーに「地域づくりはこのような流れのなかで発展してきた」と説明する際にも大いに役立っています。

それ以外では、例えば、「『移住・定住』施策推進における地域の現状と課題」講座のように、事例を盛り込んだものが自分の参考になったし、素晴らしかったですね。強いて言えば、財務関係の資料を提示してくれたら、もっとよかったと思いました。地域活性化のモチベーションは高まるけれど、経済的には成立しにくい取り組みも出てくるでしょうから、そうならないためにも、具体的な数字が見られたらいいなと思いました。

DSC_0028.JPG学生たちに講義する岩田さん

 

人口減少、少子高齢化の課題に今後も取り組む

──これからの活動、取り組みについて教えてください。

岩田:これまでいろいろな活動に関わってきましたが、どれも難しいというのが現状です。少し前になりますが、陸前高田で、あるNPO法人と組んでスポーツ特区を設立しようと頑張ったのですが、残念ながら実現できませんでした。活動を持続させ、地域の活性化を成功させるためには、カリスマ的なリーダーが1人いて、その人に共感するメンバーが核となって活動することが望ましい。そして、個々のメンバーは経済的にも肉体的にも無理をせず、自分のできる範囲を決めて関わっていくことが大切ではないかと感じました。

現在は、地域に関する案件を相談されたときにオブザーバーとして関わっています。例えば、三陸鉄道沿線地域等公共交通活性化協議会の委員として、三陸鉄道沿線の復興と地域の活性化をどう進めるか、交通弱者をどうやって救っていくかといったことも議論しています。高齢になっても車がないと生活できない地域が多いので、免許を返納した後の交通手段をどうするか、非常に難しい問題だと思いますが、これからも考えていこうと思っています。あと一つは少子化対策です。人口減少対策に関しては、今後もずっと取り組んでいきたいですね。


──人口減少対策に関する今後の展望は?


岩田:全国各地で居住や移住についていろいろと検討されていますが、岩手県も同様です。岩手県は入ってくる人よりも出ていく人のほうが多い人口流出県です。しかし、よく調べてみると、地元の子供たちは、できれば県内で就職したいと思っていて、就職口がないために他県へ出ていってしまうケースが結構見られることがわかりました。就職口を増やし、若い人には地域に住み続けてもらいたいと考えています。

また、宮古市はほかの地域と同様、空き家が増えています。知り合いの不動産業者の話では地元の人に声をかけると「売ってもいいよ」とおっしゃる方が結構いますので、「移住はできないけれども、その地域が好きだから、たまに訪問したい」という人に買っていただくのもいいと思います。都心部に居住しつつも、地域や地域の人々と多様に関わる「関係人口」を増やしていければ、そうした方々が定年退職を迎えたときに移住してもらえるかもしれません。このようなちょっと緩やかなつながりを増やしていくのもいいと思っています。

岩田智さんからひと言アドバイス

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地方創生カレッジの講座は、学生にも大変勉強になるものが多く、特にモチベーションの高い学生にはとてもいいと思います。例えば、「農山村の地域づくり」講座などは、PowerPointを活用したわかりやすい内容になっていますので、田舎に行って地域活性化に取り組みたいという志を持った学生には、まずこの講座を見るように勧めたいと思います。また、まだ具体的な目標がなく、漠然と「地域を活性化したい」と思っている学生には、それこそ小田切先生の入門編の動画からスタートするのがいいでしょう。モチベーションを維持するのは大変ですから、空き時間に無理なく受講することが長続きの秘訣だと思います。そしてこれは私の希望ですが、受講生のコメント欄を設けて、そこに受講した講座の感想などが書き込めたらいいですね。

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岩田 智さん
(いわた・さとし)

岩手県立大学宮古短期大学部経営情報学科 教授

[プロフィール]
1959年生まれ。
1982年、日本大学商学部を卒業し、同年、総合能力開発事業団に研究員として入団。その後、高山短期大学商経学科助手・講師などを経て、1994年、岩手県立大学宮古短期大学部助教授に就任。2007年に准教授となり、2014年より現職。2002年には、岩手大学 連合農学研究科で博士(農学)を取得した。地域経営、少子化問題、産業観光、PFI/PPPが主な研究テーマ。日本商工会議所簿記検定1級、税理士、宅地建物取引士試験に合格している。