ホーム日本全国 地域の宝 郷土食×地方創生農山漁村の郷土料理百選東北

 東北地方では郷土料理や特産品にちなんだイベントや全国的に有名なお祭りが数多く開催されています。青森県の青森ねぶた祭、岩手県の郷土料理「わんこそば」発祥の花巻市では「わんこそば全日本大会」、秋田県大館市では「きりたんぽまつり」が毎年開催されています。宮城県には藩祖である伊達政宗公の時代から続く伝統行事「仙台七夕まつり」、大型重機や直径6.5mの大鍋等で山形県の郷土料理「いも煮」を調理する「日本一の芋煮会フェスティバル」など、毎年たくさんの人々でにぎわいます。福島県では秋の新そばの季節に各地で「新そばまつり」が開催されます。秋田県と青森県にまたがる広大な山地帯の白神山地は世界自然遺産、岩手県の平泉は世界遺産に認定されています。

いちご煮

 お椀に盛られたウニの卵巣がだし汁とあわさる事でみずみずしく映え、「朝露のなかの野いちごのようだ」と称された事から「いちご煮」と名付けられた、ウニとアワビのお吸い物です。
 太平洋の豊かな海を背景にウニとアワビがよくとれた八戸市を中心とする県南地方の漁師料理が発祥とされ、漁家の間では古くから日常的に食されていたといわれます。
 現在は祝いの席や正月に欠かせない一品です。毎年7月には伝承と交流を目的とした「いちご煮祭り」が階上町(はしかみちょう)で開催されています。

せんべい汁

 鶏肉などでだしを取ったスープにゴボウやニンジン、キノコなどの旬の食材を入れ、しょうゆで煮立てたものに南部せんべいを割り入れた八戸地方の鍋料理です。せんべいは鍋用のかためのものを用います。出汁と具のうまみがたっぷりと染み入った南部煎餅の味と歯ごたえが人気。
 発祥は諸説様々ですが、江戸時代後期に八戸地方で麦・そばの食文化が広がり、麦せんべいやそばせんべいを鍋に入れたのがはじまりといわれています。
 現在は料理用の南部せんべいをすき焼きなどの鍋料理に用いる事もあり、幅広い食べ方で愛され続けているようです。

わんこそば

 お給仕さんの「じゃんじゃん!どんどん!」の掛け声とともに、ひと口大のそばがお椀に入り、食べ終わると次のそばがお椀に投げこまれ、満腹になるまで味わいます。
 古くは遠方からの客人を、そばでもてなす「そば振る舞い」の風習があり、ゆでたてを提供するための工夫として小さなお椀を用いた「おかわり」の作法がうまれました。
 現在は食したお椀の数を競い合う、遊び心たっぷりの「わんこそば」として、岩手県の名物料理となっています。

ひっつみ

 小麦粉をこねて薄く伸ばしたものを手でちぎり、お鍋の中で季節の野菜とともにだしで煮込む料理。具やだしは季節によって様々あり、川魚や川のカニ、鶏肉、きのこなどを用います。
 名の由来は、「手で引きちぎる」事を方言で「ひっつむ」と言うことから名付けられました。「ひっつみ」は、地域によって「とってなげ」、「はっと」、「きりばっと」とも呼ばれます。
 なめらかで喉越しの良いひっつみは、老若男女の身も心もあたためてくれる岩手県ふるさとの味です。

きりたんぽ鍋

 うるち米を潰し木の棒に巻きつけてちくわ状に焼きあげたものを、地鶏やゴボウ、キノコ、ネギなどと共に、鶏ガラのだし汁で煮込む鍋料理です。
 「きりたんぽ」は、冬期に狩猟を行う猟師(マタギ)が保存食として携行しはじめたのが起源といわれています。
 きりたんぽ発祥の地と伝わる秋田県北部の大館や鹿角地域周辺では、新米収穫後にきりたんぽ鍋を囲み、農作業の労をねぎらう習慣が現在も続いています。秋田県内の学校では、冬季の給食メニューにきりたんぽが出され、人気があります。

稲庭うどん

 独特の手延べ製法で作られた干しうどんです。湯沢市稲庭町稲庭地区が主な産地。細麺でゆで上がりが早く、なめらかな舌触りとツルツルとした喉越しが特徴です。
 1665年に稲庭吉左ヱ門が製法を確立したといわれています。生産量に限りがあったこともあり、古くは秋田藩の名品として各藩への贈答品に用いられており、高級品として知られていました。
 今では寒い時期には温麺、暑い時期には冷やし麺で、各家庭、飲食店にて通年食されています。秋田県の代表的な名産品として知られており、お土産としての人気も高い品です。

ずんだ餅

 ずんだとは枝豆で作られる緑色の餡をさします。ゆでた枝豆の甘皮をとりのぞき、すり鉢でつぶしたものに砂糖を加え、塩と水で味を調えたものです。それをつきたての餅にからめた郷土菓子。
 米どころの宮城県には笹巻き餅やくるみ餅、納豆餅など年中行事や祝い事で食される餅料理が50種類以上あると言われます。その中でも風味豊かなずんだ餅は人気が高く、お盆の時期を中心に多くの家庭で食べられています。
 ずんだのクレープやシェイク、アイスクリームなど、様々なアレンジ料理もうまれています。

はらこ飯

 鮭の煮汁で炊いたご飯の上に、鮭とイクラをのせ、刻みのりなどを添えて食べる鮭の親子丼です。
 鮭の漁が盛んだった亘理荒浜地方の漁師が考案したと伝わります。「はらこ」とはイクラをさす東北地方の方言です。「はらこ飯」の名の由来は諸説あり、イクラは鮭の腹にいる子だから腹子(はらこ)という説も存在します。仙台藩主の伊達政宗が亘理荒浜地方の運河工事視察を行った際に、地元漁師からはらこ飯を献上されたことをとても喜び、その美味しさを多くの人に伝え広めたという言い伝えが残っています。
 はらこ飯は全国的に有名になり、特に鮭が旬である秋頃には、多くの観光客がはらこ飯を目当てに訪れます。駅弁としても高い人気があります。

いも煮

 サトイモやコンニャク、ネギ、キノコ類、季節の野菜などを主な具材とした鍋料理。
 江戸時代、京都との文化交流から入ってきた料理がルーツとされます。稲刈りが終わる秋に食べごろを迎えるサトイモは古くから庶民の味として親しまれており、サトイモを用いた収穫祭や地域交流の場として屋外で大きな鍋を囲む「芋煮会」は300年程前より行われていました。
 9月の第1日曜日は「芋煮会」のはじまりの日となり、山形県の風物詩となっています。豚肉を用いる庄内風、牛肉を用いる内陸風など、地域により様々な形で受け継がれています。

どんがら汁

 味噌ベースの汁に寒鱈(かんだら)の身、頭、はらわたを入れ、豆腐、ネギやダイコンなどの野菜とともに食す鍋料理。寒鱈とは、冬場に産卵のため回遊してくる脂がのり身体が大きい鱈を指します。
 「どんがら汁」の名の由来は寒鱈の「身とガラ」を用いることから「胴殻(どうがら)」が変化したとされ、魚を余さず丸ごと食べる庄内地方の漁師料理として古くから伝えられてきました。
 冬場になると庄内各地で「寒鱈まつり」が開催され、学校給食でも通常の献立として食されており、山形県の家庭の味です。

こづゆ

 ホタテの貝柱で出汁を取り、豆麩(まめふ)、ニンジン、シイタケ、サトイモ、キクラゲ、糸コンニャクなどを加え、薄味に味を調えたお吸い物を、会津塗りの椀で食す料理。
 多くの食材が盛られる贅沢な料理ながら「おかわりを何杯しても良い」習慣が有り、会津人のもてなしの心が表現されています。
 会津藩のご馳走料理としてうまれたこづゆは、現在も正月や冠婚葬祭などの特別な日には欠かせないもてなしの料理。具だくさんの材料の数は縁起のよい奇数が習わしのようです。

にしんの山椒漬け

 身欠にしんと山椒の葉を重ね合わせ、しょうゆと酢、お好みで酒と砂糖を入れ、2~3週間漬けたものです。
 山に囲まれた会津では北海道で乾物に加工された身欠にしんが貴重なタンパク源でした。生魚が流通していなかった時代、日持ちする身欠にしんを用い、先人たちの智恵により調理され保存食として伝え続けられてきたものです。
 現在も、各家庭で毎年山椒が芽吹く春から夏にかけて漬け込まれ、その味と風味から日本酒の肴としても人気。会津本郷町ではにしんを漬けるための「にしん鉢」が、伝統の技術「会津本郷焼」で作られており、古くは会津の嫁入り道具の一つとされていたとされます。