北陸新幹線の延伸が続き利便性が高まっている北陸地方。氷見の寒ブリやホタルイカで有名な富山湾は500種類もの魚介類が住んでいるとされ、富山湾で水揚げされた海の幸と県産米で作る「富山湾鮨」の提供店として富山県内の約50店舗が登録されています。石川県には前田家による加賀百万石の流れをくむ、輪島塗や加賀友禅などの伝統的工芸品があります。ズワイガニ漁が盛んでオスを加能ガニ、メスを香箱ガニと区別しており酢醤油で食べる香箱ガニが高級品として有名です。若狭塗や越前焼が有名な福井県は米どころであることから「なれずし」や「にしんずし」、サバの保存法として編み出された「さばのへしこ」などが郷土料理として伝わります。米どころの新潟県は酒どころとしても有名で日本一多い酒蔵が県内にあります(2016年)。新潟駅や越後湯沢駅には県内全酒蔵のお酒を試飲、購入できる「ぽんしゅ館」があります。

ます寿し

 円形の器に笹を敷き詰め、その上に塩漬けしたマスの切り身と酢飯を詰め、笹で包みこみ重石をして作られる押し寿司。
 享保二年(1717年)、良質の越中米と神通川のアユで作ったのがはじまりとされ、富山藩主の前田利興が八代将軍吉宗に献上したところ、その美味しさに食通の吉宗が唸ったと伝えられています。その後、同じ製法でマスを用いて作られるようになり、越中(現在の富山県)名物として広まりました。
 現在でも富山市の松川沿いにたくさんの専門店が並んでおり、全国的に駅弁やお土産としても重宝されています。

ぶり大根

 ブリとダイコンをしょうゆや砂糖、出汁などで甘辛く煮る魚料理です。
 ブリは成長に伴って何度も名を変えることから、縁起のいい出世魚といわれています。富山湾では良質なブリが多くとれることから、照り焼きやブリのあんじゃなます(ブリを使ったなます)など、沢山のブリ料理がうまれ、愛されてきました。
 富山県の一部の地域では娘の健康と娘婿の出世を祈願し、娘が結婚した年の暮れに、嫁ぎ先にブリを贈る風習があります。お祝いの席でよく食されるぶり大根は、冬に旬を迎える郷土料理として知られますが、今や全国各地で食べられるようになりました。

かぶら寿し

 塩漬けにしたブリを同じく塩漬けにしたカブではさみ、麹(甘酒)に漬けた「なれ寿司」の一種です。金沢市を中心に古くから冬の保存食として食べられており、家庭ごとに様々な味が存在し、ブリではなくサバも用いられます。
 古い記録としては、「金沢市史」(風俗編)に宝暦七年(1757年)の頃の年賀の客をもてなす料理として「なまこ、このわた、かぶら鮓(すし)」との記述があります。
 現代でも正月の定番料理として石川県だけでなく富山県でも盛んに食されています。

治部(じぶ)煮

 鴨肉や鶏肉の切り身に小麦粉をまぶし、すだれ麩、野菜と共に出汁で煮る椀物料理。薬味にわさびを添えていただきます。片栗粉が肉のうまみを封じ込め、汁に適度なとろみをつけます。
 発祥には諸説あり、能登や加賀の山里で捕獲した野鳥を食用にする習慣からうまれたという説や加賀藩にいた宣教師が考案したという説、豊臣秀吉配下の岡部治部衛門(じぶえもん)が考案しその名が付いたという説などがあります。江戸時代から作られており、庶民をはじめ多くの人たちに愛されてきました。
 タケノコやレンコンなどの加賀野菜を材料とする治部煮は、四季折々の旬を楽しめる石川県の郷土料理として有名。現在は結婚式などの祝いの膳には欠かせない椀物です。

越前おろしそば

 大根おろしと出汁をたっぷりと用いて食すそばです。
 江戸時代に、領主が非常食としてそばの栽培を命じ、そばに越前産の大根をおろしたものとだしをかける食べ方が推奨されたのが起源とされています。
 現在では、地域によって食べ方が異なり、そばに大根おろしを添えてだしをかけたり、大根おろしをまぜいれただしをそばにかけたりして食されています。県内にはおろしそばを食べられるお店が多く存在します。日本屈指の長寿県で食べられている健康食として、全国的に注目を集めています。

さばのへしこ

 塩漬けにしたサバをぬかに漬け込んだ福井県若狭地方の伝統料理です。
 完成までに短くとも数ヶ月、手間暇かけつくられる冬場の保存食として伝えられてきました。「へしこ」とは、魚を塩漬けにした後にぬか漬けにすることをさします。漬け込むことを若狭地方の方言で「へしこむ」といい、これがなまって、もしくは略されてその名が付いたとされています。サバをはじめ、イワシやニシン、フグなどで作る「へしこ」は江戸時代中頃が起源といわれています。
 現在ではお茶づけや焼き物、パスタ、酒の肴としてなど様々な形で食べられています。

のっぺい汁

 鶏肉、ニンジン、ゴボウ、レンコン、サトイモなどの季節の食材を鍋で煮込む汁物です。片栗粉などを用いず、サトイモで自然なとろみを付けるのが特徴。汁物としては珍しく、冷ましてから食すこともあります。新潟県において、サトイモと並ぶ名産品であるサケを加えることもあります。
 県内におけるバリエーションは多彩で、新潟県の豊かな食文化を背景とした家庭料理の代表作といえます。正月やお盆などの年中行事の際に各家庭で楽しまれています。

笹寿司

 クマザサの葉の上にすし飯をのせ、山菜や川魚などの身近な食材を具に使った寿司。地域により押し寿司にする場合や、すし飯に具材をのせる場合、すし飯に具材を混ぜる場合など様々な方法で食されています。
 起源としては戦国時代に上杉謙信が武田信玄との合戦の際、山奥での器のかわりに抗菌作用のある笹の葉を用い、携行食としたことがはじまりとされます。
 現在では新潟県全域及び長野県の一部でも食されており、様々な食され方で伝え続けられる郷土料理です。