ホーム日本全国 地域の宝 郷土食×地方創生農山漁村の郷土料理百選九州北部

 辛子明太子で有名な福岡県内には辛子明太子の専門店があり、店ごとの様々な味わいを楽しめることに加え、他食材とあわせた加工食品も数多く扱われています。同県産の「あまおう」は高級イチゴとして有名です。有田焼や伊万里焼、唐津焼などの伝統工芸が多く伝わる佐賀県ではうれしの茶、玄界灘で水揚げされる呼子港のイカが有名です。諸外国との窓口として栄えた長崎県では、卓袱(しっぽく)料理や皿うどん、ちゃんぽんなど異国情緒ある料理が多く伝わっています。同県では2018年に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録されました。常に全国の90%以上のカボスを生産する大分県は、ブランド化に成功した関あじと関さばが有名です。源泉総数や温泉湧出量が全国一位(2018年)の大分県は温泉資源に恵まれていることから「おんせん県」を自ら名乗り、観光地としてのPRを行っています。

水炊き

 鶏肉を骨ごと煮込んだスープの中に、お好みの野菜を加えてポン酢でいただく博多の代表的な鍋料理です。手間をかけ、じっくり煮込んでつくられた白濁のスープが特徴。
 その起源は、長崎県生まれの林田平三郎が香港に渡った際に、英国人の家庭で料理を学び、帰国後に西洋料理のコンソメと中華料理の鶏のスープをアレンジし、福岡県の店で提供したのがはじまりといわれています。
 現在では日本全国で食べられる郷土鍋。具を食べ終えた後に、鶏のうまみで食べる雑炊も人気です。

がめ煮

 鶏肉、サトイモ、ゴボウ、ニンジン、タケノコなどを煮込む料理。昔、福岡県北部は筑前国(ちくぜんのくに)と呼ばれていたことから、筑前煮とも呼ばれます。名前の由来は複数あり、博多の方言である「がめりこむ(寄せ集める)」が短くなり「がめ煮」と呼ばれるようになったという説や、文禄の役で出兵した兵士たちが「どぶがめ(スッポン)」とその他の材料をごった煮にして作った「亀煮」から名付けられたという説などがあります。
 現在、福岡県一帯で慶事には欠かせない郷土料理です。

呼子イカの活きづくり

 呼子産のイカを手早く活きづくりにします。早技によって、身が透明な状態でお皿に盛り付けることができます。
 佐賀県の北に位置する呼子の港は、江戸時代から昭和中期まで捕鯨基地として栄えていました。
 現在では玄界灘で水揚げされるイカの町として知られ、多くの人でにぎわう港町です。多くの飲食店で観光客をもてなす名物料理となっています。

須古寿し

 もち米を加えて作られた酢飯に、有明海で獲れたムツゴロウの蒲焼き、シイタケ、卵、ゴボウなどをのせた寿司です。
 室町時代、時の領主が米の品質改良に努めた結果、その米は寿司飯だけでなく酒造米としても有名になりました。それに感謝した領民が寿司を献上したのが須古寿司のはじまりといわれています。
 白石町の須古地区では、昔からお祭りやお祝いの席に欠かせない料理で、現在でも慶事の際に食されています。

卓袱(しっぽく)料理

 長崎県独自の発展を遂げた、和(日本)、華(中国)、蘭(オランダやポルトガルなどの西洋)料理を円卓に並べ、取り分けながら食べます。古くから国際港として栄えた長崎が育んだ国際色豊かな料理です。影響を受けた国の名前をとり、別名「和華蘭(わからん)料理」とも呼ばれています。
 江戸時代から異国との接点が多かった長崎では、当時禁止令の出ていた食肉も文化として残っており、卓袱料理に欠かせない豚の角煮などもこれに由来します。ちゃぶ台はこの卓袱料理の卓が起源になったともいわれています。

具雑煮

 出汁に丸もち、鶏肉や魚、季節の野菜など10種類以上の食材を煮込んだ雑煮。
 起源は寛永十四年(1637年)に起こった島原の乱の際、海や山から様々な食材を集めて煮込んだのが始まりとされます。これをもとに、食事処を営んでいた糀屋(こうじや)喜衛ェ門が文化十年(1813年)に味を調え売り出したのが、現在の具雑煮の原型となったといわれています。
 島原の郷土料理として有名になり、現在では市内の様々な飲食店で観光客に提供されています。

ブリのあつめし

 しょうゆベースのタレに漬けたブリの刺身を、あつあつのご飯にのせ、ネギやのり、ゴマなどの薬味を添えて、お茶や出汁をかけて食べる丼料理「ブリのあつめし(温飯)」。漁業が盛んな佐伯市に伝わる郷土料理です。
 漁師が水揚げした新鮮なブリを刺身で食べた後、残った身をしょうゆに漬けて保存食として食べたのがはじまりです。古くは琉球の漁師から伝えられた調理法といわれ、別名「りゅうきゅう」とも呼ばれます。
 地域ごとにアジやサバなどが使われ、各地の漁師料理として伝承され続ける料理です。

ごまだしうどん

 「ごまだし」をゆでたうどんにのせてお湯を注いで食す、海の町佐伯市が生んだ風味豊かな麺料理です。ごまだしとは、焼いた白身魚の身をすりつぶし、しょうゆとごまを混ぜて作られたもの。
 大分県佐伯市の漁師料理としてうまれたこの料理は「ごまだし」を長期保存できることと、食べたい時にうどんにのせてお湯を注げば食べられる手軽さが特徴です。
 現在ではエソの代わりに、イワシやアジで作られることもあります。

手延べだんご汁

 ゴボウ、シイタケ、ニンジン、サトイモなどを具材とする味噌ベースの汁に、小麦粉に水(場合によっては塩水)を加えみ、耳たぶ程の硬さにねった生地をのばし入れて煮込む料理です。土地によってはのばさずにちぎって入れる場合もあります。
 由来には諸説ありますが、多くの説で戦国時代の大名、大友宗麟が好物の「アワビの腸(鮑腸)」に似せて作らせたものとして伝わっています。
 現在は家庭における日常食となりました。