長野県信州首都圏総合活動拠点「銀座NAGANO」

移住相談や観光案内にも抜群の成果をあげて注目

“銀座NAGANOの魅力はスタッフの魅力”と語る小山所長に聴く長野県のファンを生み出す活動とは?

 毎日のようにイベントが開催され、観光案内の件数は1年間に30,683件、移住相談は1,160件。これは東京銀座にある長野県のアンテナショップ『長野県信州首都圏総合活動拠点「銀座NAGANO」』(以下、銀座NAGANO)の2018年度の実績だ。自治体アンテナショップの多くは、物産販売とともに、イベント開催や現地への誘客・移住促進も活動の目的にしている(一般財団法人地域活性化センター『2019年度 自治体アンテナショップ実態調査報告』より)。そのなかで、「銀座NAGANO」はイベント開催や観光案内、移住相談などで大きな実績を上げ、地方活性化活動の成功例として海外からも取材がくるほど注目を浴びている。成功の要因を小山浩一(こやま・ひろかず)所長に聴いた。

銀座NAGANOの店頭に立つ小山浩一所長

 「銀座NAGANO」があるのは銀座5丁目の銀座すずらん通りに面したビルの1、2、4階だ。1階の店舗に初めて足を踏み入れた人は「アンテナショップとは思えないおしゃれな店内」と口をそろえて驚きの声をあげる。落ち着いた照明の中にバルカウンターが広がり、周囲に旬の青果や加工品、酒類などが種類別に並んでいる。1階はバルカウンターと物産販売、2階はオープンキッチンを設けたイベントスペースと観光インフォメーション、4階は移住や就職相談コーナーがある。

  • 銀座すずらん通りに面した店舗
    木製の外壁が信州らしい

  • 店内も木製の棚を使い、ぬくもりを感じる

  • 店頭には長野の季節を感じる果物など旬の青果も並ぶ

  • 長野県のソウルフード「牛乳パン」も人気商品
    *季節によって入荷しない期間もあります

モノを売るだけではなく、“一人でも多くの長野県のファンをつくる”が命題

 「銀座NAGANOは愛称で、正式名称は『長野県信州首都圏総合活動拠点』です。アンテナショップとよばれることも多いですが、私たちは物産販売を目的にしているのではなく、総合的な活動を通じて“一人でも多くの長野県のファンをつくる”ことが銀座NAGANOの最大のミッションだと思っています」。小山所長の言葉は「銀座NAGANO」が最も大切にしている目的とコンセプトから始まった。
 地方自治体が情報発信拠点として都内に設立する自治体アンテナショップは1992年度から右肩上がりに増え、2013年度には30軒を超えていた(一般財団法人地域活性化センター『2019年度 自治体アンテナショップ実態調査報告』より)。2014年10月にオープンした「銀座NAGANO」は遅めの設立といってよく、その分、設立目的や他県との差別化など十分に検討がなされたようだ。満を持しての出店だった。
 「オープン2年前の2012年ころから、長野県も東京に首都圏の情報発信拠点をつくろうという準備が始まりました。長野新幹線の北陸延伸や、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まり、首都圏はもちろん、世界に向けて長野県の価値やブランド力を発信していくにはどうしたらいいか、外部の有識者も含めて議論するなかで、長野県を総合的に発信するには、モノを売るだけでは長野県らしさが発揮できない、本質が抜けてしまうだろうという結論になりました。アンテナショップというと物産販売のイメージが強いのですが、我々はもっと総合的な発信を行いたいと思い、新設する情報発信拠点について重要な3つのコンセプトを定めたのです」と小山所長。
そのコンセプトは以下の3つだ。
① 「フェア」ではなく「シェア」(単なるアンテナショップではなく信州のしあわせをシェアする場に)
② 「伝える」ではなく「つながる」(信州と首都圏、信州と世界がつながっていくきっかけを生み出す場に)
③ 「観光地」ではなく「関係地」(「コト」「ヒト」「モノ」を通じて何度でも訪れたくなる目的地に)
「長野県の良いものをシェアして魅力を感じていただき、コト・ヒト・モノを通じて何度でも訪れたくなる目的地になる、つまり長野県のファンをつくることが私たち銀座NAGANOの目的なのです」(小山所長)。

  • 1階の入り口付近にバルカウンターが広がる

  • バルでは長野産ワインや日本酒が
    手ごろな値段で味わえる
    長野談義を楽しみに訪れる常連さんも多いという

  • おつまみも店内の商品なので
    お気に入りは買って帰ることもできる

  • 長野ワインや日本酒、ウイスキーなど
    酒類も豊富にそろう