地方創生「連携・交流ひろば」 | 地方創生のノウハウ共有掲示板と実践事例紹介日本全国 地域の宝 郷土食×地方創生食でかがやく「まち・ひと・しごと」徳島県『徳島県庁』『徳島県立徳島商業高等学校』『GOTTSO阿波』(1/4)

徳島県『徳島県庁』『徳島県立徳島商業高等学校』『GOTTSO阿波』

次世代の食の担い手と連携 2020を地域活性の起爆剤に

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)は、東京及び競技開催地域だけで行われるものではない。日本のどの地域でも、世界中から訪れる人々との交流や選手のサポートができるチャンスがあり、ある意味で日本全体が、大会に関わることができるのである。そのひとつの手段が「事前キャンプ」(※1)。もうひとつが「ホストタウン」(※2)であり、その活動と地域の食を担う若い世代が巧みに連携し、他にない展開を見せるのが、徳島県だ。東京2020大会を起爆剤に、徳島の食は新たな価値を持ち、全国、世界に浸透しはじめている。
 今回は、徳島の食にまつわるプロジェクトを推進する徳島県庁、GOTTSO阿波、徳島県立徳島商業高等学校の校内模擬会社ComComの取組みと、そこで活躍する人々を取材した。

徳島県 県民環境部 スポーツ・文化局 スポーツ振興課 国際スポーツ交流室
湊洋平主任(左)、同交流室 山田桃主事(中)
徳島県 農林水産部 もうかるブランド推進課 安全安心農業担当
南明信係長(右)

GOTTSO阿波の皆さん

徳島県立徳島商業高等学校
校内模擬会社ComComの皆さん

 四国の東に位置し、観光では「阿波おどり」が有名な徳島県であるが、地方創生に積極的な自治体でもあり、「VS東京」(※3)をキャッチフレーズに掲げ、まちづくりにつながるさまざまな取り組みを行っている。農林水産業も盛んで、野菜に関しては、関西の台所である「大阪市中央卸市場」では、徳島県は常に出荷量上位を誇る。また、地鶏の出荷数日本一を誇る「阿波尾鶏」を始めとする畜産物、ワカメやハマチなど海産物も豊富である。

<徳島県>
人口:約73万人(2020年2月現在)
面積:約4,100㎢
徳島県HP:https://www.pref.tokushima.lg.jp/

東京2020大会でも「VS東京」 4カ国のホストタウンとしてスポーツ交流を促進

 「事前キャンプ」は正確な統計は出ていないが、「2018年末時点で約180の自治体の受け入れが決定といわれており」(※4)、開催時には200を超える自治体になると推測される。「ホストタウン」に関しては、2020年2月現在、400を超える件数が登録されていると言われている。
 そして「VS東京」をまちづくりのキャッチフレーズに掲げる徳島県は、東京2020大会に関しても積極的な活動を行っており、ドイツ、カンボジア、ネパール、ジョージアと4カ国を相手に「ホストタウン」登録を受けるとともに、「事前キャンプ」受入を決定している。

  • ドイツ ニーダーザクセン州とのカヌー交流

  • ドイツ男子ハンドボール代表チームと
    県内の子どもたちとの交流

 「事前キャンプ」受入や「ホストタウン」登録を積極的に行う徳島県。ドイツとは、第一次世界大戦時、鳴門市にあった板東俘虜収容所でドイツ兵捕虜に人道的な対応を行ったことから、友好関係がスタート。そのつながりで、2016年1月に「ホストタウン」登録決定。その後、柔道、カヌー、ハンドボールの「事前キャンプ」受入が2019年に決まっている。

 カンボジアは「徳島県立徳島商業高等学校 ビジネス研究部/校内模擬会社ComCom」(※5)とのつながりがあり、2017年12月に「ホストタウン」登録。その後、2019年2月に水泳の「事前キャンプ」受入が決定。

  • カンボジア・ネパール水泳代表チームの
    県内強化キャンプの様子

  • ネパール・アーチェリー代表チームの県内強化キャンプの様子

ネパールとは「徳島ネパール友好協会」(※6)の縁で2019年8月に「ホストタウン」登録。今年1月に水泳とアーチェリーの「事前キャンプ」受入が決定。

ジョージアパラリンピック委員会と県内高校フェンシング部との交流の様子

ジョージアは、ラグビーW杯2019の代表チーム事前キャンプが行われたつながりをもとに、2019年12月にパラリンピック大会の「事前キャンプ」受入が決まった。

 なかでもカンボジアについては、地元の徳島県立徳島商業高等高校のクラブ活動「校内模擬会社ComCom(以下、ComCom)」との共同プロジェクトのつながりから、「ホストタウン」「事前キャンプ」と展開した、全国的にも珍しい事例である。その高校生達を訪ねてみると、挨拶や表情からは高校生らしい若々しさが残るものの、実際に行う事業は大人顔負け。国境を超えた「食」を通したソーシャルビジネスを立ち上げ、実際に地域に貢献している「ビジネスマン」だからこそ持ち得る、頼もしさに満ち溢れていた。