ホーム日本全国 地域の宝 郷土食×地方創生食でかがやく「まち・ひと・しごと」徳島県『徳島県庁』『徳島県立徳島商業高等学校』『GOTTSO阿波』(4/4)

徳島県『徳島県庁』『徳島県立徳島商業高等学校』『GOTTSO阿波』

次世代の食の担い手と連携 2020を地域活性の起爆剤に

若手農家が集い新ブランド創設 東京2020大会導入を目指す

  • 地元の野菜ソムリエや料理研究家がレシピを監修

  • 「美〜ナス」の苗を小学校に提供し食育活動も行う

  • ComComとレシピを共同開発した「美〜ナス」料理

  • レシピ開発時の様子

 「GOTTSO阿波」は当初は、未開拓だった関東圏で阿波市産野菜をPRすることから活動がはじまったが、一方で、夏野菜である「なす」が子供を中心に不人気で、その点を解消できるブランド夏野菜を生み出したいと考え、在来種の白ナスに着目し、「美〜ナス」の生産をスタートさせた。
 「美〜ナス」は、皮はひすい色で、大きさは通常のナス(夏秋ナス)の1.5〜2倍ほど。アクが少なく、ほんのり甘さがあり、スイーツにも適している。また、果肉が柔らかく、天ぷらや油炒めにするととろける食感が楽しめる。その特徴を認知してもらうべく、料理研究家たちと協力し、「美〜ナス」にあったオリジナルレシピの開発にも取り組んでいる。ちなみに、「ComCom」と共同開発したレシピもある。
 110本の苗木からの生産でスタートした「美〜ナス」は、徳島県で行われた国民文化祭で取り上げられ、その風味が評価されたことがきっかけとなり、一気に認知度がアップ。今や西日本を中心に夏の風物詩として定着するまでになり、5,000本の苗木を育てるまでになった。2016年には阿波市特産品認証制度「阿波市のいいもの」や、徳島県認証の「とくしま特選ブランド」に認定された。

 その「美〜ナス」の産地化を精力的に行っていた2013年、東京2020大会の開催が決定。当時の会長の武澤豪さん(今は相談役)が、「どうせやるなら大会で使用してもらいたい」と思い、自身の畑で大会導入基準である「GLOBALG.A.P.」(※11)を取得。その後は他の生産者も徳島県認証である「とくしま安2GAP農産物」※12を取得し、準備を整えてきた。

 その思いを知る徳島県は、2017年に行われた「ホストタウン」でつながりのできた「ドイツU-18チーム」の柔道チームの強化合宿で、「美〜ナス」を提供する機会を作った。評判は上々で、「GOTTSO阿波」は東京2020大会の導入に向けて、さらに自信を深めたという。
 
 東京2020大会を見据え、「ホストタウン」の交流事業等で「美〜ナス」をはじめとする地元食材を積極的に取り入れるサポートをしてきた、県の農林水産部・もうかるブランド推進課の南明信係長は、地域の食の活性に着実な手応えを感じている。

 「東京2020大会を目指す海外のトップクラスの選手たちに、育てた食材を食べ、喜んでもらえたことは、生産者、加工業者にとってモチベーションに繋がっています。そこから意識が変わり、積極的にビジネスに取り組み、結果として売り上げや地域での認知につながる。「GOTTSO阿波」はまさにそれを具体化していると思いますし、他の事業者の方にも広がってほしいと思います」

 東京2020大会があることで、必ず地域は活性化するわけではない。だが、価値ある素材があり、チャンスを有効活用しようという意識があれば、東京2020大会は絶好の起爆剤になる。徳島県はそれを、着実に実現し始めているのだ。

(文・写真)種藤 潤(一般社団法人オーガニックヴィレッジジャパン)
(取材協力)徳島県県民環境部 スポーツ・文化局 スポーツ振興課 国際スポーツ交流室、徳島県 農林水産部 もうかるブランド推進課 安全安心農業担当、徳島県立徳島商業高等学校、GOTTSO阿波 (取材日)2020年2月吉日

【参考】
※1 事前キャンプ
大会に出場する国や地域の選手や関係者を事前に受け入れ、練習調整を行う場の提供とサポートを行うこと。

※2 ホストタウン
日本の自治体と、東京2020大会に参加する国や地域の住民等が、スポーツ、文化、経済などを通じて交流し、地域の活性化につなげていくこと。具体的には、(1)大会参加者との交流(2)体感参加国の方々との交流(3)日本人オリンピアン・パラリンピアンとの交流、の3つに分けられる。2020年2月現在、417件が登録されている。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tokyo2020_suishin_honbu/hosttown_suisin/pdf/about_hosttown_suishin.pdf

※ 3 「VS東京」
徳島県が掲げる共通のまちづくりのキャッチコピー。東京にケンカを売るわけではなく、後発ながら地方創生で他の地域に埋もれることなく、東京を含む都市にはない徳島=地方の価値をプレゼンテーションしていくことをコンセプトにしている。
https://www.vs-tokyo.jp/

※4 東京五輪・パラ事前合宿 全国1割超の自治体で実施(産経新聞)
https://www.sankei.com/tokyo2020/news/181204/tko1812040003-n1.html

※ 5徳島県立徳島商業高等学校 ビジネス研究部/校内模擬会社ComCom
1909年創立の地元徳島に根ざした商業高校は、スポーツの全国クラスの強豪クラブがひしめくことでも有名だが、ビジネス研究部も引けを取らない全国的な活躍を見せる
。2011年に現在の顧問である鈴鹿剛教諭が着任、同研究部内に「校内模擬会社ComCom」を設立。「人と人とをつなげて新たなビジネスを作りたい、そして徳島を元気にし、徳島の商業活動を全国に広めていきたい」という想いのもと、約30名の部員が会社のように事業部に割り振られて活動、新規事業の立ち上げ、被災地支援の商品開発、観光ツアーの企画、ウェブページ制作など幅広く行う。高校生のビジネス研究の甲子園とも言える「全国高等学校生徒商業研究発表大会」の出場常連校で、2019年は優秀賞を受賞した。

※ 6 徳島ネパール友好協会
1996年2月、ネパール中部の山村に「電気の灯を贈ろう」と徳島県内の有志により設立。以後、小型水力発電所の建設や、家庭用照明システムの導入支援、不要となった救急車や消防車の寄贈などを行い、友好関係を築いてきた。2015年の「ネパール地震」の救済・復興支援募金活動も行う。2016年に現在のNPOに。
http://tokushima-nepal.jp/

※7 HACCP
Hazard Analysis and Critical Control Pointの略。食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法のこと。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html 

※ 8 消費者支援功労者表彰
消費者利益の擁護・増進のために各方面で活躍されている方々を表彰する制度。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/

※ 9 エシカル甲子園
持続可能な社会づくりに挑戦する若者を育成するため、エシカル消費の推進や実践を行う高校生が、日頃の取組の成果や今後の展望等について発表する場。全国の高校の中から、エシカル消費の推進に積極的に取り組んでいる高校を選抜し、その取組に関する発表を行い、特に優れたものについて表彰する。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/ethical/ethical_koshien/

※ 10 GOTTSO(ごっつぉ)阿波
徳島県内でも農業が盛んな阿波市の若手生産者により結成されたグループで、2020年現在、13名の農家で活動。2011年、阿波市観光協会の設立とともに、所属グループとして阿波市産の農産物のPRを行い始めた。現在は、県と市の特産品に選ばれた、在来品種の白ナスをブランド化した「GOTTSO美〜ナス」の生産、阿波市内の小中学校での食育活動などを行っている。名前の「ごっつぉ」は、阿波弁の「ごちそう」の意味。

※ 11 GLOBALG.A.P.
G.A.P.(ギャップ) とは、GOOD(適正な)、AGRICULTURAL(農業の)、PRACTICES(実践)のこと。GLOBALG.A.P.(グローバルギャップ)認証とは、それを証明する国際基準の仕組みである。
https://www.ggap.jp/?page_id=35#i1

※ 12 とくしま安2GAP農産物
消費者に安全・安心な徳島県産農産物を提供するため、徳島県が農産物の生産・品質管理体制(農場)を検査し、認定する制度。
https://www.pref.tokushima.lg.jp/ippannokata/sangyo/nogyo/2009093000261